新型コロナウイルスの影響で、今年度のこどもけんちく学校は延期になりました。
今後こどもけんちく学校の内容をより充実していくため、3月20日に香川県高松市のバウハウス展などの見学を実施しました。
【開校100年 きたれ、バウハウス ―造形教育の基礎】
1919 年、ドイツの古都ヴァイマールに、建築家ヴァルター・グロピウスにより造形学校「バウハウス」が創設されました。実験精神に満ち溢れたこの学校は、造形教育に革新をもたらし、今日にいたるまでアートとデザインに大きな影響を及ぼしています。2019年にバウハウスは開校 100 年を迎えました。
バウハウスでは、ヴァシリー・カンディンスキー、パウル・クレーなど時代を代表する芸術家たちが教師として指導にあたり、優れたデザイナーや建築家が育ち、時代を切り開くプロダクトデザインやグラフィックデザインが生まれました。入学した学生が最初に受ける基礎教育で教師たちが試みた授業はユニークなもので、それぞれの教師がどのように授業を行ったか、当時の優秀な生徒さんの作品を通して知ることができました。その作品は、今でも新しい発見を促すような先進的な取り組みが満載でした。
学校としてのバウハウスに焦点が当てられており、今後のこどもけんちく学校でも、基礎教育で教師たちが試みた授業の一端を体験していただくような授業も行なってみたいと思います。
バウハウスでは、基礎教育を終了したのちに進む様々な工房(金属、陶器、織物、家具、印刷・広告、舞台、建築など)での教育の成果や資料など約300 点が展示してあり、今でも製品化されているものなども見受けられました。
また、当時、実際にバウハウスに入学した日本人留学生、水谷武彦、山脇巌、山脇道子、大野玉枝の4人の作品・資料を一堂に集めて紹介し、バウハウスと日本のつながりを垣間見ることができました。愛媛県の建築家「松村正恒」さんもバウハウスの影響を受けており、今後は具体的な年表に落とし込んで、その影響をこどもたちに分かりやすく伝えていきたいと思います。
【香川県立体育館】設計:丹下健三氏 1964(昭和39)年
(公社)日本建築家協会四国支部香川地域会の皆さまが、香川県立体育館をご紹介して下さいました。丹下さんが拘られた部分や、建設当時の施工を担当された清水建設の皆さまの建設時のエピソードなども詳しく教えていただきました。
体育館のすぐそばには「船の体育館再生の会」の事務所があり、数々の資料が展示され、子どもたちにより親しんでもらえるよう、紙で作れる模型なども再生の会で制作されております。再生の会のメンバーが、土日の度に、当番制で体育館の魅力などをお伝えしているそうです。
香川県庁舎が基礎免震工法などの耐震改修工事を終え、使い続けられることが決定している中で、この美しい懸垂曲線を持った体育館を保存活用できるよう、微力ながら、広報などのご協力をさせていただきたいと思います。
【trm:o】設計:武智和臣氏 2013(平成25)年
観音寺にあるカフェと美容室のある建築です。タンポポ畑に降り立ったモノリスをイメージされており、外部を遮断しているコンクリートの白い壁が彫刻的です。外部の400mmの壁から、400mmの屋根がキャンティレバーで中庭に伸びています。天井の照明設置の折り上げ部分は、コンクリートのスラブに直接穿っており、素材を減らして減らして造られているため、大変緊張感のある空間になっています。
今後も、学びのある公益的な活動を実施していきたいと思います。